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ファミレスで、ネコの顔をしたロボットが料理を運んできたことはありませんか。
僕はあります。最初は「かわいいな」くらいにしか思っていませんでした。
でも、フィジカルAIについて調べ始めてから気づきました。
「あれ、もうフィジカルAIの仲間なのでは?」
ヒューマノイドのような未来っぽいロボットに目が行きがちですが、実は「見て・考えて・動く」機械は、すでに身の回りでけっこう働いています。
この記事では、フィジカルAIが今どこで使われ始めているのかを、工場・物流・お店・街・家庭に分けて、勉強中の僕が調べた範囲でまとめます。
フィジカルAIが働く場所、先に答えを言うと
- 一番進んでいるのは工場。世界の工場では、約466万台の産業用ロボットが動いている
- 物流倉庫では、Amazonが100万台以上のロボットを使い、AIでまとめて動かしている
- お店では、配膳ロボットや飲み物の品出しロボットが日本でも広がっている
- 街では、2023年から配送ロボットが歩道を走れるようになった
- 家庭は、ロボット掃除機以外はまだこれから。ただし一番大きな可能性がある場所でもある
工場:一番進んでいる場所

フィジカルAIが一番活躍しているのは、やっぱり工場です。
国際ロボット連盟(IFR)によると、2024年に世界の工場に新しく入った産業用ロボットは約54万2,000台。10年前の2倍以上です。世界で動いている産業用ロボットは、合わせて約466万台になりました。
国別に見ると、こうなっています。
| 国 | 2024年に入ったロボット | 世界での割合 |
|---|---|---|
| 中国 | 約29万5,000台 | 約54% |
| 日本 | 約4万4,500台 | 世界2位 |
| アメリカ | 約3万4,200台 | |
| 韓国 | 約3万600台 | |
| ドイツ | 約2万7,000台 |
中国が圧倒的で、世界の半分以上を占めています。日本は2位で、国内では約45万台の産業用ロボットが動いているそうです。
「ただのロボット」から「考えるロボット」へ
ただし、工場のロボットの多くは、②の記事で書いた「台本どおりに動く役者」タイプです。決められた場所の部品を、決められた動きで扱います。
ここにAIが入ることで、変わり始めているのが次のような作業です。
- カメラで部品の位置を見て、ズレていても正しくつかむ
- 色や形がバラバラな物を、見分けて仕分ける
- 製品のキズや汚れを、カメラで見つけて検査する
③の記事で紹介した、BMWの工場で部品を運んだヒューマノイドも、この流れの先にあるものです。
物流倉庫:ロボットが100万台を超えた

次に進んでいるのが、物流倉庫です。
Amazonは2025年6月、倉庫で使うロボットが100万台に達したと発表しました。ちなみに、記念すべき100万台目のロボットが届いたのは、日本の物流センターだったそうです。ちょっとうれしいですね。
Amazonの倉庫では、いろいろな種類のロボットが働いています。
- 商品の入った棚ごと持ち上げて、人のところまで運ぶロボット
- 荷物を1つずつ仕分けるロボット
- 人が働いているエリアでも、ぶつからずに自分で走って荷物を運ぶロボット
さらに、「DeepFleet」というAIで、たくさんのロボットの動きをまとめて調整し、ロボットの移動効率を10%よくしたそうです。
1台1台が賢いだけでなく、100万台をチームとして動かす。倉庫全体が、ひとつの大きなフィジカルAIのようになってきているんですね。
③の記事で紹介した、倉庫で箱を運ぶヒューマノイド「Digit」も、この流れの中にいます。
お店:日本でも身近になってきた
ここからは、僕たちが実際に目にする場所です。
ファミレスの配膳ロボット
冒頭のネコ型ロボットです。
ガストなどを運営するすかいらーくグループは、2022年末までに全国約2,100店舗に約3,000台の配膳ロボットを入れました。
ガストでは、こんな効果があったそうです。
- ランチのピーク時の回転率が7.5%アップ
- 片付けにかかる時間が35%減
- 店員さんの歩数が42%減
ロボットが料理を運んでいる間に、店員さんは接客や片付けに集中できる。人の仕事を奪うというより、「歩き回る仕事」を代わりに引き受けている感じです。
コンビニで飲み物を並べるロボット
ファミリーマートでは、2022年から、テレイグジスタンスという日本の会社のロボットが飲み物の品出しをしています。
おもしろいのは、その仕組みです。
- ふだんはAIで、自分で飲み物をつかんで棚に並べる
- うまくいかなかったときは、人が遠くからVRで操作して直す
③の記事で紹介した家庭用ロボット「NEO」と同じで、「AIに任せつつ、困ったときは人が助ける」という形です。調べていると、この組み合わせが今のフィジカルAIの現実的なやり方なんだと分かってきました。
街:配送ロボットが歩道を走れるようになった

日本では、2023年4月から、小さな配送ロボットが歩道を走れるようになりました。
ルールはこんな感じです。
- 法律上は「遠隔操作型小型車」と呼ばれる
- 大きさは電動車いすくらい、速さは時速6km以下
- 走らせる地域の公安委員会に届け出れば、歩行者と同じように歩道を走れる
- 完全に無人ではなく、人が遠くから見守ることが前提
背景には、ネット通販の荷物が増えているのに、運ぶ人が足りないという問題があります。
ただし、運べる荷物の量や距離が限られていて、1人で何台見守れるかなどのコストの問題もあるそうです。今は、マンションやオフィス街など、条件のいい場所から少しずつ広がっている段階です。
家庭:まだこれから、でも一番大きな可能性
最後に、僕が一番気になっている家庭です。
ロボット掃除機は「先輩」
家庭で一番普及しているフィジカルAIは、たぶんロボット掃除機です。部屋の形をセンサーで覚えて、障害物をよけながら掃除する。これも立派な「見て・考えて・動く」機械です。
最近の機種は、カメラで床のコードや靴下を見分けてよけるものもあります。うちの靴下を、どうか吸い込まないでほしい。
カメラで障害物を見分けてよけるロボット掃除機は、たとえばこんな製品です。
洗濯物をたたむロボットはまだ予約段階
一方で、③の記事で紹介したような、洗濯物をたたんだり食器を片付けたりするヒューマノイドは、2026年時点でまだ予約が始まった段階です。
家の中は、工場や倉庫よりずっと難しい場所です。
- 家ごとに間取りも家具もちがう
- 物の置き場所が毎日変わる
- 子どもやペットが予想外の動きをする
逆に言えば、ここで本当に使えるロボットが出てきたら、世界中の家庭がお客さんになります。一番難しいけれど、一番大きな可能性がある場所だと思いました。
調べてみて分かったこと
活躍している場所を並べてみると、ある順番が見えてきました。
| 場所 | 環境 | 今の状況 |
|---|---|---|
| 工場 | 決まった物を、決まった場所で扱う | すでに大量に活躍 |
| 物流倉庫 | 物の種類は多いが、場所は管理されている | 100万台規模で活躍 |
| お店 | 人がいるが、通路や動きはある程度決まっている | 日本でも広がっている |
| 街 | 人も車もいて、予想外が多い | 少しずつ始まった |
| 家庭 | 毎日ちがう、何でもありの場所 | まだこれから |
環境が決まっている場所ほど早く広がり、予想外が多い場所ほど難しい。フィジカルAIは、この順番で少しずつ活躍の場を広げているようです。
ちなみに、工場や倉庫のように「ひとつの現場に特化したAI」は、バーティカルAIとも呼ばれます。こちらの記事でくわしく調べました。

まとめ
- 工場では、世界で約466万台の産業用ロボットが動き、AIで「考えるロボット」に変わり始めている
- 物流倉庫では、Amazonが100万台以上のロボットをAIでまとめて動かしている
- お店では、配膳ロボットや品出しロボットが日本でも身近になってきた
- 街では、2023年から配送ロボットが歩道を走れるようになった
- 家庭はまだこれから。でも一番大きな可能性がある
- 決まった環境ほど早く広がり、予想外が多い場所ほど難しい
ファミレスのネコ型ロボットを見る目が、ちょっと変わりました。あの子も、フィジカルAIの最前線で働く仲間なんですね。
次の記事では、街を走る「自動運転の車」もフィジカルAIなのかを調べてみます。

参考資料
- IFR(国際ロボット連盟)「World Robotics 2025 report – Industrial Robots」
- About Amazon「Amazon launches a new AI foundation model to power its robotic fleet and deploys its 1 millionth robot」
- Business Insider Japan「すかいらーくの配膳ロボット3000台導入」(2023年4月)
- Business Insider Japan「ファミリーマートが300店舗でAIロボット導入へ」(2022年8月)
- MONOist「広がるロボットの活躍フィールド〜公道/建築/海洋での可能性〜」(2025年2月)
本記事は、筆者が調べた内容を初心者目線でまとめたものです。特定の企業や銘柄への投資を勧めるものではありません。数字は各資料の公表時点のものです。


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