ChatGPTを作った会社が、今度はロボットの体を作るそうです。
2026年10月、OpenAIのサム・アルトマンCEOは、自社のポッドキャスト番組で「人型ロボットを作るのか?」と聞かれ、「作ります(We will)」と答えました。別のインタビューでは、「2027年には、かっこいいデモを見せられると思う」とも話しています。
このブログでは、生成AIを「頭」、フィジカルAIを「頭+体」にたとえてきました。その「頭」の代表のような会社が、いよいよ「体」を作ろうとしている。これは調べないわけにはいきません。
OpenAIのロボット計画、要点まとめ
- OpenAIのアルトマンCEOが、人型ロボット(ヒューマノイド)を作るとはっきり答えた
- 予定は2027年にデモ。ロボットが街を歩くのは、その数年後になりそうだと話している
- 人型にする理由は、「世界は人間に合わせて作られているから」
- アルトマン氏は、ロボットの体の形よりも、動かすための「頭脳」のほうが大事だと考えている
- 求人ページにはロボット関係の募集が27件。モーターなどの部品を自分たちで作る仕事や、量産に向けた仕事もある
- ロボットの見た目、価格、発売時期は、まだ何も発表されていない
何が発表されたの?
まず、アルトマン氏の発言を整理してみます。
| 場面 | 発言の内容 |
|---|---|
| OpenAIのポッドキャスト番組 | 「人型ロボットを作るのか?」に「作ります」 |
| 同じ番組 | 世界は人間に合わせて作られているので、人型が理にかなっている |
| 同じ番組 | ロボットの体の細かい形は、「頭脳」をどう作るかに比べればそれほど重要ではない |
| 米経済誌フォーチュンのインタビュー | 2027年に「かっこいいデモ」ができると思う。街を歩くのはその数年後 |
「作るかもしれない」ではなく、「作ります」と言い切ったのがポイントです。
なぜ「人型」なの?

アルトマン氏の理由は、とてもシンプルでした。
世界は、人間に合わせて作られているから。
このブログの③の記事でも、同じ話を書きました。
- 階段やドアは、人が通る大きさに作られている
- 道具は、人の手でにぎる形をしている
- 工場の作業台も、人が立って作業する高さになっている
人間のために作られた場所で働くなら、人間に近い形のほうが都合がいい。テスラやFigureなど、ほかの会社がヒューマノイドを作る理由と同じですね。

「体より頭脳が大事」ってどういうこと?

今回いちばんおもしろいと思ったのが、この考え方です。
アルトマン氏は、ロボットの体の細かい形は、ロボットを動かす「頭脳」に比べれば重要ではないと話しています。
アメリカのテック系メディアのEngadgetは、この発言を受けて、本当にむずかしいのは体ではなく頭脳のほうだと解説していました。例として挙げられていたのが、マグカップを持ち上げるという動作です。
人間なら一瞬ですが、ロボットにとっては、
- 目の前の物が「マグカップ」だと見分ける
- 取っ手がどこにあるか見つける
- 取っ手をつかむ
- ちょうどいい力で持ち上げる
という、いくつもの判断と動きが必要になります。しかも、どこかで失敗したら、自分で気づいて直さないといけません。
②の記事で、「生成AIは賢いのに、コップ1つ持てない」と書きました。OpenAIは、まさにその「コップを持てる頭脳」を作ろうとしているわけです。

実は、OpenAIとロボットには「過去」がある

調べていて知ったのですが、OpenAIがロボットに関わるのは、実は初めてではありません。
- 2019年:仮想空間で練習させたロボットの手で、ルービックキューブを解く研究を発表
- 2020〜2021年ごろ:ロボットの研究チームを解散し、文章のAIに集中
- 2024年ごろ:ロボットの研究チームを立て直していると報じられる
- 2026年10月:アルトマン氏が「人型ロボットを作る」と明言
一度ロボットから離れて、ChatGPTのような文章のAIに集中し、そこで大成功した。そして今、その「頭脳」を持って、ロボットの世界に戻ってきた。そんな流れに見えます。
仮想空間で練習させて、本物のロボットで動かす。ルービックキューブのときのこのやり方は、今のロボット開発でも主流の考え方になっています。
求人ページから見えること
発言だけでなく、求人ページからも本気度が見えてきます。
報道によると、OpenAIの求人ページには、ロボット関係の募集が27件ありました。
- ロボットの動きの制御
- ロボットが自分の状態を知るための技術
- モーターや関節の部品(アクチュエーター)を自分たちで作る仕事
- 製造やサプライチェーン(部品の調達)の仕事
最後の2つが気になります。頭脳だけでなく、体の部品も自分たちで作り、将来はたくさん作る(量産する)ことまで考えているように読めるからです。
ライバルはどこ?
ヒューマノイドを作っている会社は、すでにたくさんあります。
| 会社 | ロボット | ひとこと |
|---|---|---|
| テスラ | Optimus | 車の会社が、工場のノウハウでロボットを作る |
| Figure AI | Figure 03 | 家庭向けも視野に入れたヒューマノイド |
| XPENG(中国) | IRON | 生産ラインから出荷が始まったと報じられている |
| OpenAI | 未発表 | 「頭脳」の会社が、体を作りにくる |
ほかの会社が「体」を作る技術から始めたのに対して、OpenAIは「頭脳」から始める。ここがほかとのいちばんのちがいだと思います。
冷静に見ておきたいこと
ワクワクするニュースですが、まだ分かっていないことがたくさんあります。
- ロボットの見た目、大きさ、できることは発表されていない
- 価格や発売時期も発表されていない
- 「2027年のデモ」は、アルトマン氏の見通しで、約束されたものではない
- 2027年のデモで何を見せるのかも、まだ分からない
テスラの新型ロードスターのように、ロボットや車の世界では、発表から実際の発売までに何年もかかることがよくあります。「作ります」は、スタートラインに立ったという意味くらいに受け止めておくのがよさそうです。
僕が思ったこと
このブログを始めたとき、僕は「生成AIは頭、フィジカルAIは頭+体」と整理しました。そして「頭はすごく進んだけど、体はこれから」とも書きました。
そのいちばん進んだ「頭」を持つ会社が、自分から「体」を作りに来た。生成AIとフィジカルAIが、ひとつの会社の中でつながろうとしている。そう考えると、このブログのテーマのど真ん中のニュースでした。
2027年、ChatGPTの「頭」を持ったロボットが、マグカップを持ち上げる日が来るのか。楽しみに待ちたいと思います。
まとめ
- OpenAIのアルトマンCEOが、人型ロボットを「作ります」と明言
- 2027年にデモの見通し。街を歩くのはその数年後
- 人型の理由は、世界が人間に合わせて作られているから
- 体の形より、ロボットを動かす「頭脳」が大事という考え
- OpenAIは2019年にロボットの手でルービックキューブを解いた「過去」がある
- 求人からは、部品作りや量産まで考えていることが見える
- 見た目、価格、発売時期はまだ未発表
参考資料
- Engadget「OpenAI is building a humanoid robot, but the body isn’t the real challenge」(2026年10月17日)
- AI Weekly「Altman confirms OpenAI will build humanoid, demo in 2027」(2026年10月18日)
- AI Business「OpenAI Revives Robotics Projects Following 2021 Shutdown」
本記事は、筆者が調べた内容を初心者目線でまとめたものです。発言や計画は報道の時点のもので、変わる場合があります。特定の企業や銘柄への投資を勧めるものではありません。


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